オピニオン
2023年12月20日
二物より一仏乗を
今夏、〝文武両道の名門〟神奈川県の慶応高校が107年ぶりに甲子園で全国制覇を成し遂げました。躍動する選手たちの姿は、〈天は二物を与えず〉ということわざが、まるでないかのようでした。〈天は二物を与えず〉は、「神は1人の人間に多くの才能を与えない」または「1つの才能に秀でる者はほかに欠点がある」との意味合いですが、筆者を含め、二物はおろか一物もない凡人が、容姿や才能を発揮している人をうらやみ、自分を慰めるために使う〝常套句〟のようにも思えます。秀でた才能は、地道な努力で大きく開花するのです。彼らの努力を称え、自らも励むことが肝心です。
さて、「一物も持っていない」と嘆く私たちに、『一仏乗』を与えようとするのがお釈迦さまです。その慈悲の心は甚大で、私たちが法華経の教えを信じ、お題目修行を怠らなければ、どんなに秀でた一物・二物にも勝る、「人としての完成」という〝至上の幸福〟を授けて下さるのです。(北海道北部布教師会長・中村啓承)