オピニオン
2022年2月10日
学問のスズメ
コロナ禍で、オンライン授業となった子どもたちは家で過ごすことが増え、寺や学校の行事はすべて中止となってタメ息も増えていたある日。ふと「鳥の餌台を作ろう」と思い立ち、廃材を集めて窓の前に設置した。3週間ほど経ったある朝、「チュンチュン」とひと際甲高い、弾むような声が響いてきた。スズメだ! しっかり眺めようとカーテンを開けると、ワワーッと飛び立った。シマッタ。それからはレースのカーテン越しに息を潜めるようにスズメ観察をしている。観察をしていて気付いた。決して独り占めすることはなく、餌のありかを仲間に知らせる役、仲間が食べている際の見張り役といった諸役があること。また「チュチュチュン」「ヂュヂュヂュ」などと、彼らはしっかり状況に応じた対話をしていること。他者を助けることは自分の助けでもある。私たちは意識的に行うことだが、厳しい環境に生きている彼らにとっては、それはごく当たり前のことなのだ。
(岐阜県布教師会長・天田泰山)