オピニオン
2020年12月1日
三つ子の魂
「もう1回読んで~」と何度もせがまれたことはないだろうか。私も、子どもが幼い頃は何回も同じ絵本を読んであげた。何度も読んで何度も同じところで喜ぶ。しまいには覚えてしまって、面白いページの直前には「くるぞ、くるぞ~」とわくわくしている。情景さえ思い描いているようである。そうして、気に入った本はボロボロになる。
この昔から繰り返される家庭の営みによって、子どもの心は安定するのである。なにより、肉親の愛情のこもった声、伝わってくる肌のぬくもりに、子どもは安心するのではないだろうか。安心できる場所があってこそ、子どもは外に飛び出すこともできるようになる。
「三つ子の魂百まで」というが、幼い頃に安定した心、魂が百歳まで続くという意味である。詰め込んだ知識が百まで残るという意味ではない。
大人になり、ボロボロの絵本を見て、なつかしさにほっとする。そんな家庭を大切にしたい。
(福岡県布教師会長・西島良祐)