オピニオン
2017年8月1日
絆生む合掌礼
日本人は思いやりの心に富み、周囲の人々とともに幸せになることを望むことのできる世界に比類なき民族です。その一方で、人生に幸福を感じる度合いが少なく、世をはかなんで自ら生命を絶つ人の数が、先進諸国の中では高位にあります。
「改正自殺対策基本法」の制定により、全国の自治体の自殺防止の取り組みが強化されるなどして、この数年来国内の自殺者は減少傾向にありますが、 特に自殺者の少ない地域には、人間関係のあり方にある共通点があるそうです。日頃のお付き合いは挨拶程度で過度な干渉はなし。でも、顔見知りが多く孤立はしづらいというものです。
人は、家族や同僚などとの身近な人間関係に苦しむことが少なくありません。一方、たまに会う人や違う価値観の持ち主の言葉に触れて、希望や生きる力を取り戻すこともあります。合掌礼で普段の何気ない人々との絆を大切にしていくことは、現代社会ではとても重要なことと考えます。
(栃木県布教師会長・野澤壯監)