ひとくち説法
2024年7月20日号
改めて見つめ直す
素直な気持ちで自分自身を見つめ直すと、大きな発見があります。さらに家族の誰かが唱えているお題目を聞いたときに、改めて自分を見直してみると、今まで気にしなかったことの良し悪しを感じることができます。食事のときの「いただきます」「ごちそうさま」、ちゃんと言っているだろうか。人に迷惑をかけていないだろうか?
無意識に過ごせばそのままですが、自分を見つめ直した人には、自分のするべきことに行き詰まったり迷いが生じたときに、お釈迦さまが必ず手を差し伸べてくれます。「毎に自らこの念を作す」。そして解決方法を見出せるようにあなたを導いてくださるのです。
お釈迦さまは何気ない誰かの言葉や行動を通じて、大切なことを教えてくれています。お題目を耳にするだけで、ご利益をいただくことがありますが、みずからお題目を唱えればもっといいですね。ちょっとだけ気にしてみましょう。(北海道南部布教師会長・木下恵徳)
2024年7月1日号
まず挨拶から
日本百名山で最も低い筑波山。筑波おろしでも有名なこの山は、初心者でも安心して登ることができるため、たくさんの登山客で賑わいます。
この山に毎年、保育園の子どもたちと一緒に登っていますが、その時には必ず、誰に会っても挨拶するように約束をします。最初は小さな声で恥ずかしそうに「こんにちは」と言っていた子どもたちも、じょじょに笑顔で大きな声の挨拶ができるようになってきます。なかには黙って通り過ぎる人もいますが、子どもたちは一切お構いなし。それでもほとんどの人は、うれしそうに「頑張って」と返してくれます。見返りを求めない子どもたちの笑顔の挨拶は、素直な心からでる純粋なお布施。施すことで、自身も知らず知らずのうちに「み仏の子ども」としての振る舞いや、心が養われていきます。私たちもみんな仏の子。お盆でお帰りになるご先祖さまにも、心からの笑顔と優しいお声かけでお迎えしましょう。(茨城県布教師会長・横川和克)
2024年6月20日号
心の声を聴く
夫の7回忌を迎えた夫人がいました。
家族によると夫を亡くした頃の夫人は、外出も笑顔も少なくなり、心配した友だちが旅行や食事に誘うものの仏壇から離れなかったそうです。
そういったなか、コロナ禍が落ち着いたこともあり、2歳の孫と会う機会ができたため、ひさびさに皆で近所の蕎麦屋に出掛けたらしいです。すると蕎麦屋で夫人が突然、笑い始めました。理由を聞くと、若い頃、亡き夫と蕎麦屋に行った時の出来事を思い出したといいます。夫はミョウガが苦手だったのですが、残すのが恥ずかしくて無理に食べたら渋い顔を隠せなかったそうで、2人で大笑いしたのだとか。「お父さんは人を笑わすことが大好きだったの」とも。笑顔を取り戻した一家は、家族皆で7回忌法要を営むことができました。
「聴く」は心の声を傾聴し、ありのままに受容することです。亡き人との思い出話にも悲嘆から人を救う道があります。(埼玉県布教師会長・山口剛道)