オピニオン
2023年10月10日
38年前の博士
総代さんの納骨法要の時、向かいのお墓に手を合わせる見慣れない人がいた。「千葉から来た」というその人は小学生の頃、2週間この街に滞在。当時お世話になった人にお礼を伝えたくて38年ぶりに秋田に来訪し、恩人のお墓でお参りしているところだった。たった2週間の滞在にも関わらず、長い時間を経て溢れる感謝を垣間見た。
彼は思い出がよみがえってきたようで「そういえば、近所に何でも教えてくれたおじさんがいて、〝博士〟ってあだ名をつけていたなぁ」という。
私は、すぐに納骨したばかりの総代さんのことを思い出した。その場にいたご家族に問うと、教員をしていた総代さんが〝博士〟その人だとわかり、納骨当日に巡り合う不思議に驚いた。
感謝の思いは深く心に刻まれ、ふとした時に湧きあがる。言えなかった「ありがとう」なら、なおのこと。私たちを安穏へと導くお題目をお授けくださった日蓮聖人に「ありがとうございます」。(秋田県布教師会長・山田恵隆)
