2022年4月10日
戦争はいらない。平和がほしい
■戦争はいらない平和がほしい
ロシア、ウクライナ戦争が始まって1ヵ月が過ぎた。
その戦況が毎日のテレビで伝えられているが、その悲惨な状況に世界中の人が胸を痛めていることであろう。
「戦争はいらない。平和がほしい」と、幼児をかかえて避難しながら涙声で叫ぶ母親の姿に早くこの戦争が終わって、平和な世界が来ることを祈らずにはいられない。
世界を二分するような世界戦争に発展しかねないこの戦争は世界人類の一大危機である。私たち日本人も、人類の平和のために、真剣に取り組まなければならないと、世界平和の祈りを強めていることであろう。
第2次世界大戦での悲惨な敗戦の体験のみならず、人類始まって以来初めて核兵器の残酷さを体験した日本は戦争の放棄を誓い、核兵器の廃絶を誓願した。
この日本の誓願を世界に及ぼす時が来ていることを私たち日本人は自覚しよう。特に立正安国世界平和のお題目を唱える私たちの責任は重い。総決起して、撃鼓唱題に精進していこう。
■青年会の撃鼓唱題行脚
3月16日、山梨県日蓮宗青年会の10余人の青年僧たちが、青年会創立60周年を記念して、撃鼓唱題行進し、自坊に立ち寄ってくれた。
折しもロシア、ウクライナ戦争の最中であっただけに、平和の撃鼓唱題行脚に感動し、感激の中で歓迎させていただいた。
「我が此の土は安穏にして天人常に充満せり。…諸天天鼓を撃って常に諸の伎楽を作す」との平和の事相を現しながら唱題行進する功徳は、仏国土顕現のための大きな力となるからだ。
思えば60年前、法友たちと相諮り発足した青年会が、いま脈々と続いており、平和への行動を続けてくれていることをありがたく思う。
日蓮宗の青年会は、全国に結成されており、それぞれ活発な活動を続けている。今後、山梨日青のように、世界平和を祈る撃鼓唱題行進を全国に展開してほしいと願うできごとであった。もちろん筆者を始めとして、各自・各寺院も平和への祈りに総決起する時が来ているように思えてならない。
■今本時の娑婆世界は常住浄土
佐渡に流罪になられた日蓮聖人は、文永10年(1273)4月25日、石田の郷一の谷で『観心本尊抄』を当身の大事といわれて述作なさった。今年はその750年の節目の年である。この節目の年に改めて観心本尊の信仰に目を開けということであろうか。
『観心本尊抄』には、
「今本時の娑婆世界は、三災を離れ四劫を出でたる常住の浄土なり。仏既に過去にも滅せず未来にも生ぜず。所化以て同体なり。此れ即ち己心の三千具足三種の世間なり」とある。
久遠のご本仏の大慈悲のお題目を唱えている時の娑婆世界は、ご本仏の大慈悲心に包まれて、平和な仏国土と化すという教えである。
ロシア、ウクライナ戦争の悲惨さを目の当たりにしている私たちは、手をこまねいているわけにはいかない。この地球国土はご本仏さまの本土であり、私たち人類は同胞なのだ。
『観心本尊抄』を述作されたその年の7月8日、本尊抄に説かれた本尊を図顕されている。佐渡始顕曼荼羅である。ご本仏の大慈念に生かされる平和な仏国土顕現を目指して、お題目を一心に唱えて生きろと、人類にお示しになられた。思えば私たちは大事な時にめぐり遭えた。ご降誕800年、『観心本尊抄』ならびに始顕曼荼羅750年に、改めて聖人にま見えることができた。
(論説委員・功刀貞如)