2021年9月1日
東京オリンピックと世界平和の日本の仏法
■東京オリンピックの円成
7月23日から8月8日までの17日間にわたって繰り広げられた「東京2020オリンピック」が無事円成したことをまずは喜びたい。新型コロナウイルスのパンデミックの中での開催は、1年延期した問題を含めて、関係者には苦労が多かったのではと拝察し、心から慰労の言葉を贈りたい。
そもそもオリンピックの発祥は、紀元前776年であった。その頃、毎年のように疫病が流行し、その収束をギリシャの最高神ゼウスに祈る祭礼が行われた。その際の奉納競技がオリンピアで行われたので、オリンピックと呼ばれるようになったという。
今回の東京大会に参加したアスリートを始め、「国際オリンピック委員会」の各位、特に開催国の日本の人びとは、オリンピックの無事円成を祈ったことであろう。
私たちも、世界人類の平和とともに、パンデミックの早期収束とオリンピックの無事円成を祈って、宇宙の大霊・ご本仏さまに一心にお題目を唱えさせていただいた。
■法華経弘通史の節目の時
今年は日蓮聖人の降誕800年の記念すべき年であり、改めて日蓮聖人がこの世に出現された意義を受けとめていく時である。この時に聖徳太子(574~622)の1400年ご遠忌、伝教大師最澄(767~822)の1200年ご遠忌のご正当を迎えた。
聖徳太子は、日本で初めて法華経を講説し、『法華義疏』を著している。仏法、特に法華経を中心とした17条憲法を制定し、平和国家日本の樹立を目指した。
伝教大師最澄は、中国の天台大師の再誕として日本に出られて、法華一乗の教理を説き、日本の仏教諸宗の母山・比叡山を開いた。
日蓮聖人は、『顕仏未来記』の中で、「日蓮は恐らくは(釈尊、天台、伝教の)三師に相承し、法華宗を助けて末法に流通す。三に一を加えて三国四師と号く」と述べておられる。法華弘通の歴史の中で生きられ、ご自身が初めて唱えられたお題目を「日本の仏法」と名付けられた。
■日本の仏法の使命
法華経弘通史の節目の年に当たって、日蓮聖人の降誕800年を迎えたことは、私たち日蓮聖人門下に大きな使命を自覚せよとの聖人の声のように思えてならない。
思えば、核兵器廃絶は人類の悲願であるにもかかわらず未だに実現していない。平和に酔いしれている間に、世界の体制間対立が目立ってきて、まさかの戦争が起きないとは限らない。
それに世界は「人新世」時代に入ったといわれる。人類が地球環境を破壊する時代だという。それだけに人類の生き方が問われ、掛け替えのないこの地球を守っていかなければならない責任を重く受けとめる時代になってきている。
立正安国・お題目結縁運動は今年度で結願となるが、この運動は私たち日蓮門下にとって、永遠の命題であろう。
法華経の魂であり、ご本仏さまの魂であるお題目を日蓮聖人は日本の仏法、日の本の仏法と呼ばれた。お題目は日月の如く世界を照らしていく立正安国・世界平和の仏法である。
南無妙法蓮華経は、世界人類を照らすべき瑞相であり。五五百歳の長き末法の世を照らすべき瑞相である。
今こそこの世界を平和な世界仏国土と化すために、「我が弟子等はげませ給え、はげませ給え」と日蓮聖人は叫ばれているように思えてならない。日本の仏法の黎明期である。
(論説委員・功刀貞如)