2021年3月10日
御降誕800年 立正安国・お題目結縁運動
■御遺文要文集の発刊
この度、「日蓮聖人降誕八〇〇年並『開目抄』述作七五〇年慶讃報恩事業」として、『日蓮聖人に学ぶ―御遺文要文集』が発行された。これは埼玉県布教師会と日蓮宗新聞社との編集によるものである。
1日から31日まで、毎日ご遺文の要文を拝読でき、また携帯にも手頃の頁数に編集されている。さらに『昭和定本』『平成新修』『日蓮聖人全集』の頁数も記載されており、より広くかつ深く拝読したい人のための仕様になっている。
巻末には宗門ご聖日の要文も付せられていて、早速、ご降誕会に拝読言上させていただいた。
日蓮聖人800年記念事業が、全国各山各寺でさまざま行われているが、私はこの要文集を拝受して、これは良いことをなさったと感動し、心から敬意を表させていただいた。
日蓮聖人は、人類史上大いなる天命を持たれてこの地球世界にお生まれになられた。そして艱難辛苦のご生涯の中で、人類救済の偉大にして貴重な法門をお伝えになられた。その法門は脈々として宗門に引き継がれてきているが、今は聖人から直接聞くことはできない。しかし、聖人はたくさんのご遺文を残してくださった。
私たちはそのご遺文から聖人のお説法を聴くことができる。ありがたいことだ。
■人類世界の希望の光
ご降誕800年の慶祝の年に世界中がコロナ禍に見舞われている。コロナ戦争といわれるほどの多くの人びとが尊い命をなくしている。世界中の人びとが、世界平和が大切だと痛感している。このコロナ禍の克服のためにワクチンの接種が始められた。
一方、地球温暖化が進んで、自然災害が頻発している時に、パリ協定から脱退していた米国が復帰し、さらにWHOからの脱退も取り止め、米国第一主義から国際協調主義へと舵を切った。
長きにわたって叫ばれてきた核兵器禁止条約が発効し、核廃絶への扉が開かれた。
地球世界の現況を達観するに決して悲観することはない。前途には明るい希望の光の兆しがさしている。
ご降誕800年のめでたい時に、外出が制限されたり、団体行動ができなかったり、まことに淋しい思いである。しかしこういう時にこそ、聖人のみ声に耳を傾け、将来の希望の光を見つめて、聖人のご遺文を拝読して唱題することが、私たちの進むべき大道である。
■今だからこそお題目
ポスターの地の全面に桜の花が写り、その中央に臨滅度時の大曼荼羅のお題目が掲げられ、その下に水鏡のご尊像が勧請されている。その右側には「令和三年日蓮聖人降誕八百年記念」とあり、左側には「今だからこそお題目」とある。
このポスターは山梨県連合布教師会が作製し、県下全寺院に配布されたという。
コロナ禍で心が沈み、暗くなりがちな世の中を、明るく照らす希望の光を授けてくれるものは何であろうか。聖人と向き合い、ご遺文を拝読して涌き上がってくるものは、お題目なのだ。お題目で私たちの魂を輝かせて、今の世間を南無妙法蓮華経の希望の光明で照らしていくことだ。
日蓮聖人いわく、「日月の光明の能く諸の幽冥を除くが如く、この人世間に行じて能く衆生の闇を滅すと、この文の心よくよく案じさせ給え。…(日蓮の)弟子檀那とならん人々は、宿縁ふかしと思うて、日蓮と同じく法華経(南無妙法蓮華経)を弘むべきなり」と。
まさに「今だからこそお題目」である。 (論説委員・功刀貞如)