オピニオン

2017年10月10日

野生のカワウソ対馬で発見!

琉球大学の伊沢雅子教授(動物生態学)らの研究グループは8月17日、国内で38年ぶりに野生のカワウソを長崎県・対馬で撮影したと発表し、それが絶滅したとされる〝ニホンカワウソ〟かもしれないと、日本中にニュースが流れた。
〝ニホンカワウソ〟とは辞典には次のように記されている。「かつては日本全国の河川などの水辺で見られたイタチの仲間の哺乳類で、尻尾を含めた体長は1㍍前後。ヨーロッパやアジアに広く分布するユーラシアカワウソの亜種とされるが、独立した種に分類すべきだとの主張もある。明治以降、毛皮を目的に乱獲されたほか、河川の水質悪化などで生息地が失われ激減した。1979年に高知県で確認されたのを最後に、90年代までに絶滅したと考えられ、2012年に環境省のレッドリストで絶滅種に分類された」。その特徴は、体重4~8㌔、短い脚に「みずかき」がついていて、平らな頭、小さな耳で、胴や尻尾が長いという。
「日本のカワウソをめぐる経緯」の年表には次のように記されている。1965(昭和40年)「国の特別天然記念物に指定」
1979(昭和54年)「高知県で最後のニホンカワウソの生息を確認」・1989(平成元年)「環境庁(当時)が絶滅危惧種に指定」・2012(平成24年)「環境省はニホンカワウソを絶滅種と公表」・2017(平成29年)そして今年「長崎県対馬でカワウソが見つかる」と発表された。
特徴は、体重4~8㌔、短い脚に「みずかき」がついていて、平らな頭、小さな耳で、胴や尻尾が長く、体長は1㍍前後。
環境省は、対馬で7月以降に追加調査を行った際に、カワウソのフンを発見し、DNAを調べたところ、ユーラシアカワウソのものだと判明されたと8月17日に発表した。琉球大学が撮影した個体かどうかは不明だが、今後さらにサンプルを探すなどして、詳しく調べるという。
研究者の意見も興味深い。
①対馬にニホンカワウソが生き残っていた。②大陸に広く分布するユーラシアカワウソが韓国から渡ってきた。③人が持ち込んだ…の3つの可能性があるとみているという。
八王子市のヤマザキ学園大学の安藤元一教授(哺乳類学)は「動画を見た限りでは、ニホンカワウソかユーラシアカワウソかの判断はできない。フンを採取するなどしてDNAを調べるべきだ。韓国にすむユーラシアカワウソは20㌔ほど海を渡ることが知られている。対馬と韓国は約50㌔の距離があり、50㌔も泳いだ例は聞いたことがないが、海流に乗って偶然流れ着いたのかもしれない」と述べている。
特別天然記念物なので、今後は環境省と文化庁が協力して、公的な調査や発見場所への立ち入り制限、密猟の防止などの対応を取ることが大切なのはいうまでもない。
一旦、絶滅種にされたニホンカワウソは「そう簡単に絶滅種にしないでくれよ」といっているに違いない。
環境の悪化や狩猟による圧迫など人為的要因で絶滅したといわれてきたニホンカワウソ。とにもかくにも、野生のカワウソが発見されたというのは明るいニュースと言っていいだろう。この一連の経緯や取り組みを通じ、小さな「いのち」の尊さを考えるきっかけとしてほしい。それが「立正安国・お題目結縁運動」のスローガン「いのちに合掌」や、すべての「いのち」に対する敬いの心へとつながっていくはずだ。一切衆生悉有仏性。1人ひとりの小さな思いが、やがて安穏な社会を築き上げる原動力となっていくのだと信じたい。
(論説委員・星光喩)

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