2014年11月1日
点字ブロックは命綱 白杖は目の役目
(1)盲導犬「オスカー」のけが
「全盲の男性が7月28日午前11時ごろ、盲導犬オスカー(オス・8歳)を伴い、さいたま市の自宅から埼玉県川口市内の職場に出勤。職場でオスカーの右腰辺りから出血しているのを職場の同僚が見つけた。傷は深さ約1~2㌢で点状に3、4ヵ所並んでおり、フォークのような先のとがったもので刺された可能性があるという。被害届を受けた武南署は、何者かがオスカーの背後から刺した疑いがあるとみて捜査を開始。チラシ3千枚を配るなど、不審者情報を求めている。」
(2)増加する動物への虐待
刺された盲導犬「オスカー」がその時鳴き声をあげなかったので、「何をされてもほえないように訓練されている」といった誤った報道や風評が広がった。
8つの盲導犬団体などからなるNPO法人「全国盲導犬施設連合会」がすぐこれに対応、「そういった訓練は一切行っていません」という声明を発表して否定した。
鳴かなかった理由については「とっさのことで驚いて声が出なかったのかもしれない」とコメントした。
事件が報じられた8月下旬から、武南署には連日のように「早く犯人を捕まえて」という電話がかかり続け、「人間の子どもが刺されたのと同じこと」と、多くの手紙や「盲導犬に対する理解を深めてもらうための活動に…」と寄付金が届いているという。
(3)川越・全盲女子生徒負傷
その最中、私がいつも利用している川越市の川越駅西口コンコースで、県立特別支援学校「塙保己一学園」(県立盲学校)高校1年の全盲の女子生徒が9月8日朝、バスに乗るため、コンコースの点字ブロックの上を杖を突いて歩いていたところ、正面から来た人が杖にぶつかり転んだという。起き上がる音がした後、その人から右ひざの裏を蹴られ「一瞬、何が起きたか分からないほど怖くなり〝痛い〟という声だけ何とか出せて」うずくまった。
女子生徒は9日の取材で、「怖かった。蹴った人は私とわかっても、私には誰だかわからない。今も駅に行けば、その人がいるのでは、と緊張してしまう」と話した。
所管の川越署は毎日の通学という内容から緊急な捜査を行い、12日に容疑者を特定するに至った。
「心が傷んでいる時代」などといわれているが「犯人は一体どんな心のささくれの持ち主なのか…」
(4)「白杖」は目の役目
盲学校の荒井宏昌校長(56)によると、一番心を痛めた生徒の母親も、「皆さまのご協力で(容疑者が)見つかりました。応援のメッセージありがとうございました」と感謝の言葉を述べ、校長先生も「トラブルは今後も起こりうる。視覚障害者にとって白杖や点字ブロックは本当に大切なものということを理解し、優しく見守ってほしい」と話し、「点字ブロックは目が不自由うな人たちの命綱です」「白杖は目の役目をしています」と言ったという。
みんなのほんの少しの思いやりが次の思いやりを生む。優しさや思いやりといった善意の連鎖によって安穏な社会を築き上げいこうというのが、法華経の説くところであり、現在、宗門が推進している「立正安国・お題目結縁運動」の目指すところなのである。
(論説委員・星光喩)