2014年9月1日
第2次世界大戦犠牲者第70回忌
■空前の犠牲者
第2次世界大戦終戦69年の今年は、戦没者の70回忌に当たる。
各山各寺でそれぞれ供養会が営まれているが、私たち一人ひとりもこの国のために尊い命を亡くされた諸霊に、供養の真心を捧げよう。
第2次世界大戦では、世界中で5千万人(同朋出版データ・アトラス)が犠牲になり、日本では3百10万人という空前の人が犠牲になっている。
3百10万人のうち、2百30万人は軍人であり、一般人は80万人であったと報告されている。
軍人の戦没者のほとんどは、国民皆兵制のなかで赤紙1枚で召集され、愛する家族を残して逝った人々であった。
終戦の年の昭和20年3月10日には首都東京への大空襲があり、一夜にして約10万人の人々が亡くなられている。
本土防衛のとりでとなった沖縄戦では、昭和20年4月から約3ヵ月間、激烈な戦闘がくり広げられ、日本軍人9万4千人、沖縄住民9万4千人(外間守善著『沖縄の歴史と文化』)の人々が犠牲になった。
終戦直前の8月6日の広島への原爆投下では、その日のうちに14万人という人々が亡くなられた。
続いて3日後の9日には、長崎への原爆で7万3千人が死亡し、7万4千人が負傷している。
大きな犠牲をはらって、ようやく終戦となった日本は、そのとき悲しみのどん底に沈んでいたことを覚えている。
■戦後70年の平和
広島平和公園の慰霊碑には、「安らかに眠ってください。あやまりはくり返しませぬから」と刻まれている。
戦争は二度とはしまいと誓って、日本人はあの悲しみから立ち上がり、営々として努力して平和国家日本を築き上げてきた。
戦後70年経った今、日本の平和と繁栄を当然のことのように受け止めていていいのだろうか。この日本の繁栄には、平和の礎になったたくさんの人々がいることを決して忘れてはならない。
南太平洋諸島で玉砕して亡くなられたり、シベリア大陸に抑留されて飢えと寒さに耐えられなくて亡くなられたり、原爆などで一瞬のうちに息絶えて逝った人々のことを思うにつけ、平和を謳歌しているだけでなくて、平和への努力を積み重ねていかなければ、申しわけないのではないかと思う。
大戦犠牲者70回忌の節目の今年は、そういう意味で大切な年である。
■立正安国・お題目結縁運動
第70回忌を迎えた今年の広島原爆忌は、原爆忌には雨は降らないというジンクスが破られて43年ぶりに雨となった。
猛烈な台風12号が全国的に雨を降らせ、矢継ぎ早に11号が四国近畿地方を襲った。その被害はまた甚大であった。
「夫れ天地は国の明鏡なり。今此の国に天災地夭あり。知るべし。国主に失あると云う事を。鏡にうかべたればこれを諍うべからず」(『法蓮鈔』)
これは日蓮聖人のお言葉である。今の日本に何の失があるのであろうか。
今私たち日本国民は、これからの国のありようを深く考え、行動していく時であることを示しているように思えてならない。
「汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ」とは『立正安国論』の諫言である。
〝実乗の一善〟とは絶対平和の法華経であり、ご本仏の大慈悲・人類同胞の南無妙法蓮華経である。
天変地異が相続く不気味な現今、日蓮聖人の教えに一心に耳を傾けて、宗門を挙げて「立正安国・お題目結縁運動」に真剣に取り組んでいこう。
(論説委員・功刀貞如)