オピニオン

2014年7月1日

『立正安国論』をみつめなおして

私は昭和15年2月20日、父・星日肇上人が新寺建立した仙台市の本國寺で生まれました。小学校2年生の2学期の時、父が縁あって今の埼玉県川越市本応寺の住職に就任し、両親と男3人兄弟、一家5人で川越に移りました。
ですから母(れん)も仙台の八幡町で生まれ、父も宮城県の岩沼の安国寺で生まれました。みんな東北人で仙台に帰りますととても懐かしく、安らいだ気持ちにさせられます。「故郷」は誰にとっても格別の土地に違いありません。
■大震災
その故郷の東北が、平成23年(2011)3月11日、地震と津波で大きな被害をこうむりました。
こういう言い方はいけませんが、幸い仙台の本國寺、岩沼の安国寺は海より奥の離れた地にあったため被災を免れました。しかし岩沼の海辺近くの寺院は本堂はもとより墓石も海に持って行かれてしまい、お盆のTVニュースでは、お墓の台石の上にお花やお線香を供えてお詣りしている姿が報道されました。
親戚の内、宮城県亘理郡山元町に住む私の母の「いとこ」たちの家は津波で流失しました。今もって行方不明の人たち。玄関の床下の土砂の中で亡くなっていて見つけだされた者。水しぶきを背にあびながら高台に逃げて助かったが、全身打撲で数日後に死亡した者など、忘れられない大変な被災でした。海抜ゼロの仙台の荒浜は昨年立ち寄った時も、まだ何もないただ一面の「野っぱら」になっていました。再建計画も難しい側面が多くあると聞かされました。
■再建
再建には「国・政府」と「地方自治体」と「住民」との三者一体となっての(日蓮聖人の〝異体同心〟の教え、身体は個々別々であっても心は同じ一つの気持ちになって)の取り組み推進がもっとも大切なことですが、さまざまな困難が伴っていることも指摘されています。
「話しあい。話しあい。そして話しあい~」と話しあいを何回も重ねて解決への道をさぐって歩みを進めていると、住民の重い口からの言葉を聞きました。もう帰ることもできず、家も建てることもできないが、ふるさとなので記録のために何か残したいんだという切実な声も耳にしました。1日も早い復興を願わずにはいられません。
■信仰の寸心を改める
鎌倉時代の天変地夭による被害も数多く記録されています。
日蓮聖人が鎌倉で教えを説きはじめられたころの「正嘉の大地震」は、聖人ご自身鎌倉にあって実際に体験され、「牛馬巷にたおれ、骸骨路に充てり」ではじまる『立正安国論』をご執筆(1260年)。時の実力者・北条時頼に「汝早く信仰の寸心を改めて実乗の一善に帰せよ」と、北条執権政治の根本的な「施政の心の在り方」を命がけで進言しつづけました。
■立正安国
「立正安国」(正法を立てて国を安んずる)は日蓮聖人の生涯の叫びでした。「一念三千は情、非情にわたる」(『観心本尊抄』)。個人の成仏はもちろん、草木国土、自然の成仏とともにあるのが、私たち人間の根本的な在り方と『法華経』(正法)は私たちに教え、私たちを導きます。
大震災という大きな自然からの「教え」に心から耳をかたむけ、「立正安国」をめざした「人づくり」「国づくり」をそれぞれの場でめざしていきたいものです。
(論説委員・星光喩)

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