オピニオン

2019年1月1日

立正元年を蘇りの年に

平成最後の正月を迎えました。歴史を振り返ると、改元の前後は時代の大きな節目に当たっているように思えます。古代から戦乱や事変には新元号が用いられました。その結果、新しい時代が創造されてきたように思われます。
さて、後世の人たちは、新しい元号の節目で日本がどう変わったのかを、歴史上でどう評価するか心配です。
明治元年から大東亜戦争の開戦まで73年、敗戦から平成の終わりまで73年、戦中4年を加えると150年になります。日本社会の大変動の時代と同様、私たち日蓮宗も大きな変容を遂げています。日蓮聖人の時代から、150年から200年の周期でやってくる大きなうねりの中ですばらしい弘通者が出現し、法華信仰の見直しや確立、教団体制の変革や充実など、先師、先哲の努力の賜で今日の繁栄を築いています。しかし、この800年目のうねりの中で、新しい元号に改まる今、まさに、宗門の命運は尽きようとしているように見えます。決して大げさではなく、日本仏教そのものが消滅の危機にあるのです。それは、仏教教団の存続という視点からではなく、日本人の生き方から仏教理念が霧消しようとしていることです。日本人が長い歳月をかけて創造してきた精神文化「日本人のたましい」、すなわち国民性(国柄、人柄、土地柄、家柄など)がグローバル化という波動の中で喪失しつつあるからです。
身近で起こる品性の欠如した事件の数々、政界、経済界、スポーツ界などの不祥事、考えられない壮絶な犯罪、中でも農作物窃盗や乳幼児や老人、障害者への虐待など、日本人としては絶対に許せない犯罪の拡大をこれ以上見逃すわけにはいきません。
このような日本人の品格の崩壊の原因は種々挙げられますが、やはり根幹は家庭と学校にあると思います。家庭生活には宗教が、学校生活には教育が肝心なのです。まず、私たちの立場では家庭のことから考えなければなりません。
平成になって頻発している自然災害、どんな悲惨な状況にあっても整然と行動し、他人を思いやり、互助の精神を発揮するすばらしい人びとや家族の姿は、国内のみならず国外からも称賛されています。この日本人の高い精神性や国民性が消失するとは思えませんが、今のうちに何とかしないと大変なことになるという危機感を抱いている人は少なくないはずです。
そのためにも、私たちは家庭生活を見直し、具体的な対処療法を施さなければなりません。自分だけでやっても他人や世間がとは言っていられないのです。まず、自分が変わらなければ社会は変わりません。そこで、私たちは今いちど日蓮聖人のお考えやお立場に思いを巡らし、自分自身の信仰を自省し、日常生活を改めていく必要があるのです。そして、家族ともじっくり話し合い、幸せの基準を見直し、それを共有しながらのお題目の信仰生活に転換していこうではありませんか。
日蓮聖人は「妙とは蘇生の義なり。蘇生と申すはよみがえる義なり」とも「汝、早く信仰の寸心を改めて、速かに実乗の一善に帰せよ」とも仰っています。ときあたかも改元の正月、私たちの中では新元号を「立正」と定め、その元年からよみがえりを果たしていくとの決意を祖師に誓ってはいかがでしょうか。少なくとも私と寺内の者はこの志を確認する新年にするつもりです。併せて信仰の「寸心」がどこにあるかを問い続けていく1年にします。立正元年を蘇りの年として。
(論説委員・岩永泰賢)

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