オピニオン

2018年5月10日

マララさんに学ぶ

マララ・ユスフザイさんの勇気に心の底から敬意を表したい。説明するまでもなく、マララさんは2014年に17歳という史上最年少でノーベル平和賞を受賞した女性である。パキスタンで生を享けたマララさんは、教育者である父親の感化を受けて幼い頃から、人間としての生き方や平和に対する考え方を学んできた。
イスラム原理主義組織「タリバン」は、女性が笑うことや白い靴を履くことさえも禁じていたが、さらに女性は教育を受ける必要がないとイスラム教を信じる女子が学校へ通うことも禁じ、タリバン支配下にある女子学校を次々と破壊していった。マララさんは父親とともにタリバンの行動を批判し、反タリバン運動を展開したのである。
マララさんは、11歳でイギリスのBBC放送のブログに「パキスタン女子学生の日記」を投稿し、恐怖に怯えながらも暴力に屈しない決意でタリバンに対峙した。そして、マララさんが15歳の時に悲劇が起きた。学校からの帰途、バスに乗り込んできたテロリストによって、マララさんは銃で頭部を撃たれて瀕死の重傷を負った。頭蓋骨の修復手術を受けたが、奇跡的に命を取り留め回復できた。
それからは、以前にも増して女子が教育を受ける自由を訴えた。女性差別をするイスラムの原理主義の間違いを糺し、すべての女性が教育を受ける自由を訴えたのである。
マララさんは、16歳のとき、ニューヨークの国連本部でスピーチを行っている。
「1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペン、それで世界を変えられます。教育こそがただ1つの解決策です。教育を第1に」。
国連は、2013年7月12日のこの日をマララ・デーと定めた。
この勇気あるマララさんの行動が評価され、翌年、ノーベル平和賞を受賞した。そのときのスピーチでは、
「なぜ〝強い〟といわれる国々は、戦争を生み出す力がとてもあるのに、平和をもたらすことにかけては弱いのでしょうか。なぜ、銃を与えることはとても簡単なのに、本を与えることはとても難しいのでしょうか。なぜ戦車をつくることはとても簡単で、学校を建てることはとても難しいのでしょうか」。
「もう子ども時代を工場で過ごすのも、女の子が幼いうちに強制的に結婚させられることも、これで終わりにしましょう。私たちで終わらせましょう。今、ここから、この〝終わり〟を始めましょう。現代に暮らす中で、私たちはみな、不可能なことはないと信じています」。
マララさんは、今年20歳になり、イギリスのオックスフォード大学に通っているそうだ。世界中の若者が、男女の区別なく、教育を受けられることを目標に活動を継続しているという。イスラム教の間違えた解釈によって、女性蔑視の考え方や教育を受ける権利を奪うようなタリバンの偏見を、身の危険をも顧みず糺そうという勇気に畏敬の念さえ覚える。正義を主張し命懸けで守ろうとする信念は、法華経の「不惜身命」の教えに合致するものだとも言えよう。
(論説委員・石川浩徳)

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