オピニオン

2017年2月1日

釈尊の涅槃と日蓮聖人のご降誕

「平成」という元号も、昭和64(1989)年1月8日の改元から、29年目を迎え、睦月(1月)から、如月(2月)へと月が移りゆきました。愚者として、過ぎ去った時間に思いをはせると、日々の時間の流れの速さに、唖然とします。そして馬齢を重ねたことへの反省とともに、いかに多くの方々のめぐみを、受けてきたかを感じ、そのご恩に報いることのできない非力さを痛感しています。
ところで、過ぎ去った時間の流れの速さをおぼえ、移りやすきこの世の無常を痛感させられるいっぽうで、時間に対する認識の変化を感じるのです。
今から、およそ2500年以前にインドに誕生され、80年のご生涯を人々の教化に尽くされたゴータマ・ブッダ(お釈迦さま・釈尊)の存在や、日本の鎌倉時代に安房国(千葉県)に誕生され、釈尊の最上の教えである『法華経』の救いを、身をもって実践され、人々に南無妙法蓮華経の大白法を弘められた日蓮聖人(1222―82)の全生涯が、より身近に感じられるようになったことです。
如月の15日は、釈尊がインドのクシナガラ(拘尸那掲羅)において、80歳の生涯を終えられた「涅槃会」に当たります。また翌16日は、日蓮聖人の「降誕会」です。
釈尊のご入滅のありさまは、『ブッダ最後の旅―大パリニッバーナ経』(中村元訳・岩波文庫)に詳しく説かれています。また、仏弟子たちの悲しみのありさまは、およそ1300年以前に造られました奈良法隆寺の五重塔の基壇の北面に収められている塑像群(国宝)に、みごとに表現されています。
さらに、日本の絵画史上、抜群の存在感を示している長谷川等伯(1539―1610)の描いた「仏涅槃図」(滝谷妙成寺蔵・京都本法寺蔵)は、驚嘆すべき作品であります。
わが日蓮聖人は、釈尊のご入滅の悲しみを、『祈祷鈔』につぎのように描写されています。
「み仏が満80歳を迎えられた2月15日の午前五時ころ、ご入滅になられるとの知らせが世界中にとどろきわたります。そこで、東インドコーサラ国の舎衛国の倶尸那城の跋提河(アジラバティー河・現在のガンダギ河)の沙羅林へと、生きとし生ける52類の生きものたちが雲集します。かれらは、釈尊に対して最後の種々の供養物をささげ、そして、かれらの悲しみの声が響きわたったのです。一切の人々にとっての宝の橋が折れて落ちようとしています。一切の人々にとって大いなる智慧の眼が抜けようとしています。生きとし生ける人々の父母であり、主君であり、導いてくださる大いなる師匠であるみ仏が死を迎えようとされています」(取意・現代語訳・昭和定本678頁)
このような悲しみの声が世界に響きわたりますと、み仏との死別の悲しみに、身の毛が立ち、涙を流すだけでなく、みずからの頭をたたき、胸を押さえ、人々が声をおしまず叫び悲しんだことで、血の涙、血の汗がクシナガラの街に、大雨よりも激しく降りそそぎ、大河より多く流れたというのです。
日蓮聖人は、釈尊のご入滅を当時の時代観のもと2千余年の末世のはじめと認識され、「白法隠没」(正しい教えが隠れてしまう)の時代ののち、末法の人々を救済する「大白法」が留め置かれていることを、身命をかけて私たちに示してくださっているのです。ここに、日蓮聖人のご誕生の意義を強く感じるのです。 (論説委員・北川前肇)

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