ひとくち説法
2020年4月20日号
まていな心で
「正絹の衣って、何年くらい持つものですか」。法衣店に聞いてみると、「普通に使っても50年くらいは持ちますよ」という答えにびっくり。
東北以北では、丁寧な仕事などを「まていな仕事」という表現をする。訛って「マディ」、「マデ」といういい方をするところもあるが、意味は同じだ。漢字をあてはめると、「真手」という説もあるという。まごころを込めた手(仕事)ということになろう。前述の法衣についていえば、「までいな(真心こめた)絹の織りなどの職人仕事」ということになろうか。
「なるほど」と頷けるのも、現在着ている紫衣は先代の購入した衣で、背丈が同じなため着ているが、40年以上たった今でも、さほど汚れてもいないので現役で働いてもらっている。
日々の唱えるお題目も、来年に迎える降誕800年も、まていな(真心を込めた)心で唱え、迎えたいものだ。さらにその輝きが増し続けるように。
(北海道南部布教師会長・山本光明)
2020年4月10日号
難が起こる原因
新型コロナウイルスの勢いは、全世界のあらゆるものに影響を及ぼしています。我々人類は、この疫病をどのようにとらえればよいのでしょうか。
経典には、7つの難の1つとして疫病が説かれています。これらの難が起るのは、人びとが邪説を信じて価値判断し、それをもとに行動し、正しき教えを蔑ろにするところにあるとされます。
今回のコロナは、経済発展重視のもと、多くのエネルギーを使い、環境を破壊し、それでもなお発展することが善と盲進する人類の行動に対する啓示なのかもしれません。
コロナの影響で、飛行機の減便や外出規制、さまざまな自粛が続いています。皮肉にも、近年にこれほどCO2や排ガスなどの量が削減され、環境にとって良い状態になったことはないのではないでしょうか。こんな今だからこそ、人類にとってまた未来の地球にとって何が善であるのか、価値観と行動を見つめ直さなければなりません。
(京都1部布教師会長・三木天道)
2020年4月1日号
信念に安住すること
過ちを犯した人が「仏法」に巡り合ったことで、努力して成功を収めました。しかし、再び過ちを犯してしまいました。それでも「遇い難き仏法に遇う」ことができ、仏法に触れたのですから、もう一度努力してくれると信じています。
私たちは誰しもが三界に流転し、煩悩、業苦の三道に右往左往の迷い多き存在です。現代は網の目が複雑な中で関連し合いながら、縁起(因縁生起)の世界に身を置き、生かされ合っている世の中です。日蓮聖人は「袋きたなしとて金を捨つることなかれ」とも「妙とは蘇生の義なり」とも示されました。ご生涯の信念に至られたお言葉です。
順逆の両縁あってこそ、仏祖三宝の大慈大悲の光明を頂き、生かされながらも生きようとする。意義や自己の存在の意味にも至り、泥中にあって罪を滅し善を生ずの信念は、法華経、お題目を行じ続けてこその大果報にほかなりません。
(福井北部布教師会長・奥野文長)