オピニオン
2023年6月1日
全力で向き合う
私事ですが数年前、自坊に隣接するミカンの段々畑で転落し、左膝を粉砕骨折してしまいました。手術後、医師から説明を受ける中で、心に残る一言がありました。
まるでジグソーパズルを見事に完成させたようなレントゲンを示しながら「正座への復帰を希望されているので、時間はかかりましたが粉々の骨を可能な限り元の状態に近づけて固定しました。そのための努力は惜しみませんでした。それが復帰への近道ですから」と。
その言葉に、〝悔いを残すような妥協した手術はしていない〟という医師としての責任とプライドを感じ取りました。
そして人のために全力で向き合うことの大切さを改めて教えられたのでした。日蓮聖人がいわれた「この生をむなしうすることなかれ」(『守護国家論』)の一節を思い起こしました。何事にも全力で向き合っていきましょう。(熊本県布教師会長・伊東是光)