オピニオン
2022年6月20日
心鏡を磨く
近頃の自然災害、疾疫禍、戦禍の有り様は眼と耳に騒ぎ困惑と悲痛と苦悩を覚えます。
身を置いている空間こそ違え、時代・時間を共にしているからこその同悲心が働くのでしょう。
国、歴史、民族、文化、家庭、親など誕生するまでの縁と生まれた後も個々の空間と時間のなかで接する事象(縁)、これらすべて予見のできないなかを人は歩んでいきます。
また縁は個々に対して順とも逆ともなって「怨」「親しみ」の心情を生み、差別や不満ともなり苦悩を生みます。
日蓮聖人は「我慢、偏執の心なく」「自他彼此の心なく」と信行のあり方をお示しです。人が慢心、憎悪、軽蔑、妬み、怒りなどの負の性根を合わせ持つ以上、負を意識した信行こそ大切ではないでしょうか。懺悔滅罪と過ちに気づき、糺していただける順縁がそれぞれに訪れますよう心鏡(アンテナ)を磨いてまいりましょう。
(福井北部布教師会長・奥野文長)