オピニオン
2021年10月10日
命日と誕生日
ある檀徒さんのお宅にお経に伺った時のことです。今年はお祖師さまのご降誕800年ということもあり、誕生日のことが話題になりました。
「先日私の誕生日の朝に、仏檀に手を合わせてお題目を唱えていたら、亡くなった親の顔が浮かび、喜んでいると感じて嬉しくなりました」。
そして、お祝いの食事会に子や孫たちが集まった席で仏壇の前に行き手を合わせ戻ってきて、「今日は私の誕生日のお祝いであるけれども、本当は親に生んでくれたことを感謝する大切な日なのだよ」と、話をしました。すると孫が「私のお誕生会にはママとパパに生んでくれてありがとうって言うね」と言ったので、皆心から和みました、と笑顔で語ってくれました。
それから、その檀徒さんは、亡くなったご両親の命日に加え誕生日にも好物をお供えし、生んでくれたことへの喜びと感謝、祖父母にも自身の親を生んで頂いたご恩の供養を始めたといいます。
(石川県第1部布教師会長・伊藤寛仁)