オピニオン
2021年1月1日
5つの欲を持つ自分
いかなる時代でも人は、「食欲」「財欲」「色欲」「名誉欲」「睡眠欲」の5つの欲で常に動かされ、生きている限り止むことがない、とお釈迦さまはお説きになられます。自分の願望が成就した時には喜び、思い通りにならない時には、この五欲を追い求め過ぎるが故に、人間は知らず知らずの内に苦悩の原因をつくってしまうものです。しかし私たちは、この五欲がなければ生きてはいけません。この世界に生きている以上、五欲をすべてなくしてしまうことはできないのです。お釈迦さまは「五欲を離れずして六根清浄を得たり」とお示しになりました。つまり五欲を持ったまま成仏をするのだと。
自分自身が五欲を持つことを素直に認め、日々の行いを省みて、肉身のまま五欲を生かし、周囲の幸せのために尽くしていく行いに努めていきましょう。その心持ちが、菩薩の心であり、仏の振る舞いでもあるのです。
(長崎県布教師会長・今泉智薬)