オピニオン
2020年3月10日
我が此の土は安穏なり
私たちが毎日お読みする〝お自我偈〟には「私たちの住むこの世界は大火事に焼かれるような苦しい世界に見えるが、本当は何ひとつ不足のない、素晴らしい仏の世界なんだよ」と説かれています。
しかし私たちにはそのようには思えません。周りに耳を傾けてみても、聞こえてくるのは不平不満ばかり。悩み・苦しみの多い世界にしか見えませんが、仏さまは「それはあなたが、欲を出し過ぎているからだよ」とおっしゃっています。
たしかに私たちは欲が深すぎます。こうして生きていること自体がありがたいことですが、その喜びがありません。「お金がない」とか、「もっといい家に住みたい」というように、次々と欲が出てきます。そしていつも貪り、腹を立て、愚痴を言っています。
悪いことはあっても、探せばどこかにいいことがあると思います。それを見つけて「ありがたい」と喜ぶことが「我此土安穏」の世界です。