オピニオン
2019年1月10日
和顔愛語、忘己利他の心
病気で入院した時に、医師や看護師から微に入り細にわたってお世話になった。病状が病状なだけに心に不安があったが、看護師、介護士の和顔愛語に心救われた思いである。無愛想、気難しい顔で接せられたらどうだろう。快復するものも病状悪化になってしまうかもしれない。
大乗仏教の本宗は菩薩行を行じ菩薩に至れると説く。伝教大師は「己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」と仰せである。自然災害の時などのボランティア活動の本質はまさに菩薩行であり、忘己利他の心そのものである。全国各地で僧侶も檀信徒も地球規模の自然災害で犠牲になった諸精霊に施餓鬼供養の誠を捧げている。宗祖は「先づ臨終の事を習うて後に他事を習うべし」と。自然災害などはいつ、どこであうか分からない。常日頃から和顔愛語、忘己利他の心を養っておきたい。亡き精霊に供養の誠を尽くし、被災者が早期復興、通常生活に戻れるように願っている。(山形県布教師会長・久松玄徳)