オピニオン
2017年12月1日
人の振舞~合掌礼~
ある日ショウさんと世間話をしていた。「小さい頃からの癖で、すぐ手を合わせちゃうの」とショウさん。ありがとうの時も、ごめんねの時も、こんにちはの時も、さようならの時も。「すぐ手を合わせちゃうから、友だちに〝私はまだ生きとるんだから手を合わせないでよ〟と怒られちゃうだわ」と話してくれた。
そこで私は、ある菩薩さまの話をした。「この菩薩さまは、僕やショウさんの心に仏さまの種があって、〝あなたは、その種を一生懸命育てて、仏さまになるお方だ〟と、いろんな人に手を合わせて頭を下げられてたんだよ。なんだかショウさんと似ているね」。そう話すと「菩薩さまも生きとる人に手を合わせとったんだね。なんだか嬉しいね」とはにかんだ。
日蓮聖人は「釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ」と仰っている。「人の振舞」とは、心の中の仏さまに手を合わせることなのかなと、90歳のショウさんに教えて頂いた気がした瞬間だった。
(愛知三河布教師会事務局・内野智翔)