オピニオン
2017年3月1日
敬う心
「敬いの心が大切なんだ!」と、テレビを見ていた我が息子が突然叫びました。番組は「介護現場の虐待」を扱ったものでした。高校で福祉を学び、施設実習も経験した息子にとって、この問題は他人事ではありません。否、これは超高齢社会で暮らす日本人全体にとって「見過ごすことのできない大きな問題」と言えましょう。
〝重労働・低賃金・人材不足・高離職率・多岐にわたるストレス〟など、負の面ばかり強調される介護現場ですが、志を持って、前向きに働いている職員も少なくありません。人と人がふれあい、相手の反応が直に伝わる職場のため、「やりがいのある」との声が聞こえてきます。そして、彼らの根底にある「相手を敬う心」を感じるのです。
礼拝行の実践で成仏した常不軽菩薩は「我深く汝等を敬う」と、誰に対しても「敬い」を示しました。私たちも文明の進化に流されることなく、「他を敬う心」を持ち続けなければなりません。
(北海道北部布教師会長・中村啓承)