オピニオン
2015年6月20日
龍の髭の結縁
当山の隣には幼稚園があり、園との境に立派な青銅製の龍の口から水が出る洗心のお手洗い場が寄付された。子どもたちのいい遊び場になりそうで、寄付をされた方に「嫌な思い」をさせるのではと心配していた。案の定、子どもたちはその龍の髭に葉っぱを刺したり、小石がお供えさながら盛られていた。日々掃除をしても園児は100名以上でとても追いつかず、うるさく注意するのも、と困っていた。そんな時、ある保護者が、「娘はここで遊ぶのが大好きなんです。お爺ちゃんがお迎えに来たとき、ここ(本堂)とお家の仏壇は仏さまのお力で繋がっているんだよ、と聞いてからは、園に出かける前に家のお仏壇で〝ナムナム、行ってきます〟と手をわせるようになりました」。 方便品第二に「乃至童子の戯れに沙を聚めて仏塔と為る」を実践し、寄付された方も小さな下種結縁の功徳をいただけるのではないだろうか。それにしても今日も龍の髭には葉っぱが……。
(群馬県布教師会長・田代経量)