オピニオン
2014年6月20日
諸(衆)善奉行
先日、一般企業内の研究職の方と話をする機会があった。電器関係の企業で仕事をされている。30数年間勤務されているが、仕事が面白く定年後も引き続き勤められているそうだ。
会話のなかで興味深いことを言われた。「不特定多数の人のためにならない研究は、すでに研究ではない」ということだった。ただ自分の興味だけでとか、有名になることのみを目的にすると、よい結果につながらないことも多いらしい。「基本理念が大切です」といわれた。
私はそれを聞いて、七仏通戒偈の一節「諸(衆)善奉行」が心に浮かんだ。
昨今、色々な事件事故に驚かされることが多い。事件を起こした人たちは、自身の心の奥底で何を思っていたのだろう。
釈尊をはじめ過去七仏が持たれたという聖語「諸悪莫作 諸(衆)善奉行」は仏道の基本であるが、我々は忘れてしまってはいないだろうか。
(広島県布教師会長・難波典基)