オピニオン
2022年8月1日
守護の善神とは
ロシアによるウクライナ侵攻という現実は世界各国の危機意識を高め、日本においても防衛体制の見直しが一部で論じられるようになった。しかし、武装強化により情勢の均衡を保とうとする行為は双方の疑心暗鬼を増長させ、さらに強い守りを固めることに身をやつす事態を生みかねない。
過去世の業が似通うからこそ、縁あって同じ時代に生まれ合わせた私たち。いま、互いに恐れを除き理解を深めるという克服の時を迎えている。苦境とは一方的に与えられるものでなく、自身の反省と発展の機会と受け止めなければならない。それが仏法を知ることであり、強い守りを得ることになると信じるべきだろう。
仏法の説く守護の善神とは私たちの精神でもあり、その精神が尊ければ価値あるものとして他に敬いを抱かせる。尊敬こそが人を守り、国を守る力だ。日蓮聖人のお言葉には「必ず心の固きによりて神の守りすなわち強し」とある。
(大阪市布教師会長・有本智成)