ひとくち説法
2020年10月20日号
1%の差
住み慣れた家の中でも掃除の行き届かない大型の家具の後ろに、驚くほどのホコリが積もっているものだ。基を1として、毎日1%増えるように修練を重ね続けると365日後には37・8になるが、逆に1%ずつ怠り続けると同じ1年後にはわずか0・03になってしまう。はじめは同じ「1」だが1年後、両者には1260倍という差がつく。
つい忘れてしまっている受けた恩、先延ばしになってしまっている厄介ごと。誰しも心当たりがあるはずだ。良いことは増やし、悪いことは減らす。その修行がお題目修行であり、仏さま、日蓮聖人の慈悲に触れるということだ。行動の結果としては目に見えにくく、そのためか行動に移しにくい。しかし、今始めなくてはもっと取り返しがつかなくなる。
まず自分が行動に移す大切さを教えてくれる常不軽菩薩の精神をもって行動に移し、令和3年2月16日を迎えたい。
(高知県布教師会長・渡邊泰雅)
2020年10月10日号
3つの菩薩行
法華経はお釈迦さまの本心を正確に伝えた唯一のお経です。泣きたくなるほど優しく分かり易く説かれた教えです。私たちが幸せになるためには3つのことを実践してみなさいと教えてくれています。
第1に愛することです。孤独な世界は実在しません。孤独は愛することを忘れた心がつくり出した幻想に過ぎません。愛さずにはいられない心こそ私たちの本心であれ、本質です。
第2に、「ねばならない」という信念を手放して心を解放し、自分を傷つけた人を許すことです。許せば、自分を焼く怒りの炎が、自分を浄める清涼の水と変わります。
第3に、期待せず、執着せず、今を楽しむことです。今を楽しむ時にこそ命は輝きます。
唱題はこの3つの菩薩行を実行することを自分に受け容れさせる儀式です。
(香川県布教師会長・高岡完匡)
2020年10月1日号
♪縦の糸はあなた~横の糸は私~♪
題名は、中島みゆきさんの『糸』の歌詞です。「お経」のことをインドの言葉でスートラといい「縦の糸」を意味します。「横の糸」はタントラといい、補佐する・補うという意味。お釈迦さまが亡くなられ百年くらい経った頃に初めて教えが弟子によって「如是我聞(このように私は聞きました)」と文字として板切れに書き残されましたが、その板がバラバラにならないように「縦の糸」で繋がれたことに由来します。布を織りあげる時「横の糸」を「縦の糸」が補い補佐して布は織り上がります。なので「縦の糸」はとても大切です。このことは家庭・学校・会社・世の中全てに当てはまると思います。私たちがイキイキと生きるためにも「縦の糸」となる教えが必要ということでお釈迦さまの教えがインドから中国に伝わった時に「経」と訳されました。時には私が「縦の糸」となり「横の糸」となることもあるでしょう。「仕合せの糸」を紡ぎ毎日を送りたいものです。
(鳥取県布教師会長・都泰雄)