オピニオン
2020年9月1日
龍口の奇跡
岡山県のほぼ真ん中、吉備中央町に妙本寺とい古刹があります。日蓮聖人ご在世の時に開かれた県内最古の日蓮宗寺院であり、「具足山妙本寺」という山号寺号は、日蓮聖人から直接いただいたものと伝えられています。
お寺の歴史は、当地に鎌倉から地頭として赴任した奥州出身の武士伊達朝義公が創建した法華堂に始まります。朝義公は執権北条氏の家来であり、日蓮聖人の龍口のご法難に際して、その警護の任に当たっていました。文永8年9月12日、大勢の警護の役人の1人として、朝義公は龍口の奇跡を目の当たりにしたのです。
以来、朝義公は日蓮聖人の熱心な信徒となりました。当地に赴任してからも篤い信仰をたもち、妙本寺を中心に多くの日蓮宗寺院を開きました。
龍口のご法難が伝説ではなく、七百数十年の昔、本当に起こった事実であることを今に続く妙本寺の伽藍は物語っています。
(岡山県布教師会長・藤田玄祐)