ひとくち説法
2020年8月20日号
畏れ敬う心
静かに音せぬ道場に 仏に花香奉り 心を鎮めて暫くも 読めば仏は見えたまふ(法文歌)
先日、信徒から美しい大輪の白花をお供えいただきました。ほどなく堂内一面に芳香が漂い、身心ともに清浄となりました。
日蓮宗新聞聖語カレンダーには「蘭室の友に交わり麻畝の性と成る」(『立正安国論』)と。高貴な蘭の花のような有徳の友と接して自らの心までも真直に清らかな性となると喩されています。
いま、悪疫感染の世界的流行をみるにつけ、私たちはこの美しい自然や聖性に感謝し、奢りや慢心を捨て、素直に畏敬の念を持って接しなくてはならないのかと感じます。
美しい花を献じ、香を焚き、経を誦す。そんな日々のささやかな祈りの中にこそ、この身は安全にして禅定となるのです。
日蓮聖人は悲惨な鎌倉の世にあっても、怯むことなく信念を抱いて法華経を弘められ、人を崇めることを勧められました。
(兵庫県北部布教師会長・吉川陽久)
2020年8月1日号
得聞此経 六根清浄
私たちが幸せを感じるのはどんな時でしょうか。美しい自然を見た時、大好きな音楽を聴いている時、花の香りを胸いっぱいに吸い込んだ時、美味しい食事を頂いている時、天日干しされたフカフカの布団で眠りにつく時、家族の愛を感じた時…。人間は眼・耳・鼻・舌・身(肌)・意(心)の六根という感覚器官を通して快不快を感じます。
コロナ禍で新生活様式が推奨されています。寺院もこれからは法事や施餓鬼などをリモート化し、法話をユーチューブで配信する時代でしょうか。自宅で気軽に参加できるリモートは便利ですが、伝わらないものもあります。それは香りや味、肌触りや質感そして温度に空気感です。ハンコがなくなり、ジムやヨガはオンライン。買い物はネットで食事は横並び。何か違う方向へ進んでませんか。なぜ近年に災害が勃発するのでしょう? その根本を考えての新生活ではないかと思うのです。今こそ法華経で六根を研ぎ澄ますべきです。
(兵庫県東部布教師会長・新間智孝)