ひとくち説法
2020年6月20日号
目に見えない大切なもの
フランスの作家が書いた『星の王子さま』という作品があります。小さな惑星から地球に来た王子さまが、出会ったキツネから「大切なものは、目に見えない」と教えられるのです。
小学生に聞いてみました。「目に見えない大切なものって何?」。「友情・絆・感謝・心」と。どれも正解です。
私たちは、仏になるための種を宿して、この世に生まれてきました。この仏の種も目で見ることはできません。一般的に種は、肥料や水をあたえることによって、大きく成長していくことは誰もが知っています。目に見えない仏の種は、どうすれば大きく成長していくのでしょうか?
宗祖降誕800年のスローガンは、「いのちに合掌」です。不軽菩薩の「我深敬汝等 我深く汝等を敬う 私はあなた方を尊敬します」の実践こそがいのちに合掌であり、目に見えない仏の種を大きく成長させること、間違いありません。
(奈良県布教師会長 ・岡田法顯)
2020年6月10日号
変化の人
欲令衆の中に「変化の人を遣わして、これが為に衛護となさん」と説かれています。私は海外で布教活動をしていた頃、変化の人に救われました。米国からカナダへ飛行機で帰る際、大雪のため手前のシカゴで降ろされ、明朝再出発するといってホテルの宿泊券を渡されました。雪の中で2時間ばかり迎えのバスを待っていましたが、バスは来ません。1人の婦人が近寄ってきて、事情を尋ねてきました。私はホテルの宿泊券を見せ迎えのバス待っていると告げました。その婦人が携帯でホテルに電話してくれました。ホテルの名前が違っています。
〇〇ホテルではなく、ホテル〇〇です、との答え。その名前のバスが、先ほどから何度も来ていることに気づきました。ホッとしてお礼を言おうとすると、姿はありません。まさに変化の人でした。法華経を信仰する者が困難に会うと必ず変化の人が現れ助けてくれるのは本当でした。
(滋賀県布教師会長・福島謙應)
2020年6月1日号
伝える
今から10年以上昔の話しです。うちのお寺では朝のお勤めを6時に始めます。読経の後、唱題は長太鼓を叩いてお唱えいたします。終わると8時、長男は学校へ出かけたところです。
ある時、学校で会合があり、先生に「息子さん太鼓を叩くのが上手ですね。お家でお父さんが教えていらっしゃるんですか」と尋ねられました。そういえば檀家さんから同じことを言われたことがありました。私が毎朝叩く太鼓を息子は聞いていたんですね。自然と耳で聞き覚えていたんです。
お寺の行事の時など、檀家さんから息子に「太鼓叩いて」と言われると照れくさそうに、それでも間違わずに叩いておりました。またそれを見ていた次男も兄に負けたくないと思ったのか、小さいながらも一生懸命叩きます。またそれが皆さんの笑いを誘い、本人も嬉しそうにしています。誰が教えたわけではないのですが、そう思うと伝えることとは自分を律することと心新たにします。
(大阪豊能布教師会長・渋谷泰雅)