ひとくち説法
2019年7月20日号
夏休みはお寺へ
子どもたちが楽しみにしてる夏休みがはじまります。小学生の頃、ラジオ体操が終わるとみんなでお寺に走って行き朝のお勤めに参加しました。住職である父の指導で真剣にお経を読み、お題目を唱え、終わるとご褒美のお菓子をもらい相撲を取ったりしたのが懐かしい思い出です。
近年夏休みに子どもたちを対象にしたお寺での修養道場の開催が各地で増えています。好評で参加させたいと思っている親御さんも多いようです。お寺での修行体験は夏休みの思い出になるばかりでなく人生の糧になるでしょう。
またお盆にはぜひご家族でお墓参りをすることをお勧めします。故人を偲び自分と向き合うお墓参りは大切な家族との思い出にもなります。寺離れ、墓じまいと言う言葉を聞くようになりましたが、家族で一心に合掌する姿はいつの時代までも続いてほしいと思います。もちろんご本尊さまへのお参りもお忘れなく。
(埼玉県布教師会長・石黒淳明)
2019年7月10日号
質直意柔軟
今から約30年前、「日本昔話」というテレビ番組が放送されておりました。今思い返せば実に単純で、良いことをすればよいことがあり、悪いことをすれば罰があたる。神さまや仏さまはいつも見ておられる。そんな内容がほとんどだったと思います。子どもの頃に観た感情と、大人になってから観たかは違うと思いますが、そんな単純なことを私たちは忘れているような気がいたします。
素直に謝らず、言い訳をしたり、嘘をついたりなど、そういう生活になってしまっている人も多いと思います。そんな時は「誰も気づかないだろう」という気持ちで行動し、苦い思いをしたした人もいることでしょう。しかし、日本昔話では素直に反省し、心を入れ替えて正直な気持ちで生活すれば、番組には「永く幸せに暮らしたとさ」という結びになっておりました。
神さまや仏さまが見ておられるからこそ、質直意柔軟(素直で正直な気持ち)で生活しましょう。
(千葉県北部布教師会長・瀬川観常)
2019年7月1日号
仏の慈悲包まれて
「生きる」ということは「未知の世界を旅する」こと、そのためには対象の相手や私たちの命を優しく包んでいる自然(=仏さまの世界)を知る必要があります。それには知恵、知識、勇気、観察力などが重要です。自然は私たちに多くのモノを与えてくれています。自然の恩恵なしに私たち生き物は一時たりとも生きられません。しかし時に自然は猛威を奮って私たちのいのちと生活を脅かします。昨年の大水害や東日本大震災などはその典型です。その時私たちは「生身の人間の弱さ、力の及ばない世界」があることを知り、自ら宗教の必要性を悟ります。一次産業に従事している人に信仰心の篤い人が多いのも頷けます。
法華経譬喩品の「而も今この所は諸の患難多し、ただ我、一人のみ能く救護をなす」の通り、現象面の奥にある仏の慈悲=大いなる摂理に私たちは優しく包まれていることを知り、気づくことが大切でしょう。
(千葉県南部布教師会長・野坂法行)