オピニオン
2019年5月1日
諸天撃天鼓
古い話で恐縮です。今年も東京北部管区恒例の寒行がありました。私も天台笠をかぶり、居士衣姿に身を包み冬の街を行脚し、お題目「南無妙法蓮華経」を唱えました。この寒行は僧侶にとってとても大事な修行であると思っています。
長く歩いて疲労して立ち止まりたくなったときに、見知らぬ人から掛けられる「ご苦労さん」のひと言。それによって元気をいただいた自分がいました。宗旨を超え参加を希望する他宗の僧侶からの声も聞こえました。「寒修行 門付を待つ子どもの 手のぬくもりの 暖かさなり」。手に握りしめた小銭の温かさから、浄財の意味を改めて教えてもらいました。お題目を意識したことなどほとんどないように見受けられる人たちが、気がつくとこちらに向かって合掌をしていました。
今年も天台笠を通して、不可思議な世界が見えてきました。毎年いい修行をさせてもらっています。
(東京北部布教師会長・土田恵敬)