オピニオン
2014年12月10日
慰霊と復興への道
「幽霊を見た ・ 亡くなった家族に会った」
東日本大震災の被災地では震災直後から現在までこういった声がよく聞かれます。
ある日、3・11後にできた仮設中学校に赴任した女性からそのような相談を受けました。その校舎の西側に整地されたグラウンドは、かつて震災犠牲者の遺体安置場だったので、供養を行うことにしました。
しかし、その時に女性と「犠牲者の御霊(みたま)を追い払うのでは無く、安心を与えるための供養であること。残念の御霊は、子どもたちの未来に後事を託すしか無いが、今の教育は知識の詰め込み偏重なので、御霊が安心するように、子どもたちの魂の育成に心がける」ことを話し合いました。
塔婆を認(したた)め、供物と自我偈訓読・唱題・回向の醍醐味を捧げ終わると、その女性は「心と体が軽くなり、楽になりました」と言われました。この世もあの世も、日蓮聖人のお題目の光と力に依ってこその、安全・安心の道であるとの体信でした。
(岩手県布教師会長・三浦恵伸)