オピニオン
2014年5月20日
少欲知足
歳とともに歯がガタガタになりつつあます。懇意にしている歯医者に行った時のことです。受付で診察券を出したところ、チリリリーンと昔懐かしい電話の呼び出し音がしました。受付の後ろにはダイヤル式の黒電話がデンと構えています。この歯医者では、電話だけでなく治療用の椅子など古い物が大切に使われています。また虫歯でも抜かないことで有名です。子どもには歯科衛生士が治療に来ることを少なくするために歯ブラシの使い方指導も徹底しています。私の歯もグラグラしている1本をいずれ抜かないといけないけれど、もう少し持たせてみようと言われてから数ヵ月が過ぎます。親からいただいた身体の一部ですので、大切にするのは当然です。この歯医者の治療技術や方法などが評判で予約も常に一杯です。新しい物を追っかける生活が当たり前の今日、それが本当に必要かどうかという「少欲知足」や物を大切にすることを考えさせられた歯科治療でした。
(兵庫西部布教師会長・井本学明)