オピニオン
2013年6月20日
今そこにいる菩薩
見たいと思っていた映画「海猿」をDVDで見ました。海上保安庁で海難救助に携わる人々の物語で、愛する妻子や恋人のいる普通の若者である隊員たちが、事故に遭って死の危機に瀕しているあかの他人のために、自らのいのちも顧みずに救助にあたるお話です。映画ですから作り話と言ってしまえばそれまでですが、私たちの平和で安全な生活が、彼らのような人々の不断の努力によって支えられていることに改めて気付かされました。
今にも消えそうな遭難者のいのちの火を消すまいと可能な限りの智恵と勇気を傾注し、一致団結して決してあきらめず挑戦し続ける彼らの必死の姿に感動し、両の頬を涙が流れて止まることを知らず、同時に自らの身体を張って人々の幸せのために修行に励む菩薩の姿が重なって見えました。
「身施(しんせ)」とは、かくのごとき“おこない”のことなのでありましょう。熱くて優しい心を届けてもらった心地よい時間でした。
栃木県布教師会長 野澤 壯監