2014年4月17日
『葬式仏教正当論』
一部の学者や知識人とされる人が「インドの原典によれば、お釈迦さまは僧侶が葬式を執行することを禁じている。日本仏教は本来の仏教とかけ離れた堕落した葬式仏教」と批判した。
これに真っ向から反論したのがこの『葬式仏教正当論』。インドの仏教原典に基づいて、学術的な確たる根拠のもとに、冒頭の批判の誤りを指摘し、仏式葬儀の正しさを論証している。平易な文章に終始した本書は読み易く、淡々と、かつ理路整然とした論調は説得力を際立たせる。仏典を原語で読み解き、仏教学研究者にして住職でもある筆者だからこそ著し得た好著だ。
葬儀離れに代表される3離れの問題を抱える現代の寺院事情。こういった問題にも通じ、現代の僧侶であるならぜひとも読んでおかなくてはならない一書とみた。
著者の鈴木隆泰師は昭和39年生まれ。東京大学大学院印度哲学印度文学専攻修士課程修了。山口県立大学教授を経て現在同大学大学院国際文化学研究科長。平成16年に日本印度学仏教学会賞を受賞。東京都善應院住職。
(興山舎発行 定価2400円+税)
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