ひとくち説法
2023年6月20日号
八百万神
神さまについて考えてみましょう。日本では、神さまは至る所にいらっしゃいます。トイレをはじめ、家には大黒さま、山の神、野球やサッカーなどスポーツの神さま、それぞれ専門分野の神さま。さらには貧乏神、厄病神、種々のたくさんの神さま。ロマンスの神さまなんてどんな神さまなのでしょう。事故などで意識を失ったら失神ともいわれます。最近では神宮球場を本拠地とするヤクルトスワローズの村上(神)宗隆選手です。同名の神奈川県川崎市にある日蓮宗・宗隆寺では、村上選手の活躍で参詣が増えたそうです。まさに日本は豊かな宗教国ではないでしょうか。
日蓮聖人も曼荼羅を図され、そこには天照大神、鬼子母神さまなどを勧請されています。そして、釈尊の御心である「妙法五字の光明にてらされて本有の尊形となる」(『日女御前御返事』)と、その頂点に久遠の釈尊を認め、より尊くなるとご教示されます。
(佐賀県布教師会長・辻雅英)
2023年6月1日号
全力で向き合う
私事ですが数年前、自坊に隣接するミカンの段々畑で転落し、左膝を粉砕骨折してしまいました。手術後、医師から説明を受ける中で、心に残る一言がありました。
まるでジグソーパズルを見事に完成させたようなレントゲンを示しながら「正座への復帰を希望されているので、時間はかかりましたが粉々の骨を可能な限り元の状態に近づけて固定しました。そのための努力は惜しみませんでした。それが復帰への近道ですから」と。
その言葉に、〝悔いを残すような妥協した手術はしていない〟という医師としての責任とプライドを感じ取りました。
そして人のために全力で向き合うことの大切さを改めて教えられたのでした。日蓮聖人がいわれた「この生をむなしうすることなかれ」(『守護国家論』)の一節を思い起こしました。何事にも全力で向き合っていきましょう。(熊本県布教師会長・伊東是光)