日蓮宗新聞

2022年10月1日号

東京・新国立劇場で オペラ『日蓮の宇宙』公演

センタードン引き 15923山梨県総本山身延山久遠寺は8月31日と9月1日、来年迎える身延山開闢750年を記念した新作オペラ「日蓮の宇宙―曼荼羅世界」(制作=センドー・オペラ・ミュージカル・カンパニー/指揮・演出=仙道作三氏)を東京都渋谷区新国立劇場で上演した。来場した両日計2500人が、日蓮聖人の忍難慈勝のご生涯を振り返る歌と壮大なオーケストラの響きに魅せられた。

全3幕7場で構成される作品は江戸時代初期、法華の篤信者だったお萬の方(徳川家康の側室)と身延山久遠寺・第22世日遠上人がナビゲーターとして物語を運ぶ。日蓮聖人のご生涯を回顧し、ご在世の鎌倉時代を交錯させながら、聖人の心情や思想を辿っていく。
台本と作曲を手掛けた仙道氏はかつて日蓮聖人直筆の文字曼荼羅に感銘を受け、ご生涯をオペラで表現したいと熱望していたところ、過去にオラトリオ『日蓮聖人』に携わった同寺総務の持田日勇師と出会った。持田総務から「他者や両親を思いやる優しい日蓮聖人の姿を描いてほしい」と依頼された仙道氏は作品のために聖人の足跡をめぐるフィールドワークなどを実施。そうして完成したのが、弟子や信徒たちとの温かい交流から浮かび上がる聖人の人間性にスポットをあてた台本だ。また曲調も全体的に明るく軽やかで、超人的で重厚なイメージが強かった日蓮聖人像を良い意味で覆した意欲作でもある。舞台後方のスクリーンに美術家の倉本政典氏が描いた場面ごとの背景画や文字が映し出される演出も観劇者を引き込んだ。カーテンコールでは出演者たちの熱演に大きな拍手が沸き起こり、余韻がいつまでも続いていた。
久遠寺では「国境や人種の壁を超える芸術の力をもって、世の中の平穏を祈られた日蓮聖人のご生涯とその精神のメッセージを世界へ届けたい」と話している。

◇作品解説
第1幕の「立教宣言」(誕生から32歳)では、江戸時代に御廟前に現れた日蓮聖人の御霊が身延山を霊山浄土として称える独唱から始まる。続いて日遠上人とお萬の方が登場し、日蓮聖人を追慕しながらご生涯を振り返る。舞台が暗転すると鎌倉時代になり、誕生から遊学、立教開宗までを描き、「法華経こそがお釈迦さまの御心」「この娑婆世界こそが、仏の浄土」と宣言する。第2幕「日蓮の自覚」(33歳から52歳)では、鎌倉辻説法、龍口法難から流罪地佐渡での「始顕大曼荼羅ご本尊」染筆にスポットを当て「三大誓願」と曼荼羅の意義、そして私たちが菩薩であることを説き明かす壮大な思想的部分と日朗上人、四条金吾、阿仏房らとの弟子や信徒との強い絆から愛し愛される日蓮聖人の人間愛も同時に写し出す。第3幕「霊山浄土・身延」(53歳から61歳)は、佐渡流罪赦免から身延隠棲、池上の地での入滅までを描写。入滅の場面では、舞台に臨滅度時本尊が投影されるなか、神々しいオーケストラの演奏をバックに六老僧が「如来神力品第21」を読経する。そして音楽が最高潮に達するとともに訪れる静寂のなか、臨滅度時の半鐘が打ち鳴らされ入滅を知らせる。
終曲(エピローグ)は参詣者で賑わう江戸時代の身延山に戻り、お萬の方と日遠上人が日蓮聖人の遺徳を讃え、民衆とともに「日蓮が慈悲広大ならば、南無妙法蓮華経は万年の外未来までもながるべし」(『報恩抄』)と悦びの合唱をする。
フィナーレでは、合唱曲「娑婆即寂光土」を全出演者が歌い上げる。日蓮聖人をはじめとする鎌倉時代、そして江戸時代、ドレス衣装をまとった現代の3時代の人物がコラボレーションし、時を超えてつながれた信仰を演出。クライマックスで出演者は散華をまき、自我偈が低音で響くなか、全員でお題目を静かに唱えて幕を閉じた。

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新年のご挨拶。

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