ひとくち説法
2022年9月10日
彼岸を前に
お寺の過去帳を見てふと気が付くことがあります。終戦前に亡くなられた大勢の戦没者の行年の若さです。
それからさらに遡り見ますとたくさんの水子、嬰児嬰女など、生を宿しながら生まれ出ることのできなかった命、また生まれても短命に臨終を迎えた子どもたちの多さです。
それぞれ原因はありますが、その親たちの悲しみは同様に計り知れないものだったでしょう。ただそれらは昔のことと思っていました。それが今、また世界中で目を覆うような悲惨な情景が繰り返されています。
ウクライナでは父親が国を守るために戦い、母親は子どもを連れて避難する、その姿を見ていますと、私たちのご先祖も同等の状況下で今日の私たちに命を繋いで下さった。つくづく命の尊さに感謝の念を持つと共に次に命を繋ぐ責任を自覚いたします。
(大阪豊能布教師会長・渋谷泰雅)