ひとくち説法
2022年3月20日号
時間はいのち
かつて冬の七面山(山梨県)で、豪雪によって断水したり電気が止まったことがありました。いのちの危険さえある中で、当時の別当が「七面山開創当時の先師先哲の苦労を偲ぶことができてありがたい」と言いました。昔を偲ぶという機会は現代社会においては難しいことです。
鎌倉時代に生きられた日蓮聖人。聖人のご生涯をそのまま体験することはとてもできませんが、唱題する時、このお題目を唱導してくださった聖人のご生涯を想わずにはいられません。不自惜身命の経文のとおりにいのちをかけて私たちの幸せのためにお題目へとお導きくださった聖人。聖人を想うとき、私たちもまたお題目に生きたいと思うのです。
今はコロナ禍で大変な時です。このような時であるからこそ、より一層お題目に時間をかけていきましょう。みんなでこのコロナ禍を乗り越えていきたいと願ってやみません。
(三重県布教師会長・鷲阪仁昭)
2022年3月1日号
尊い時間
最近よく「コロナ禍になってからあっという間に1年が過ぎてしまう」という話を耳にします。気になって調べてみると、やはりコロナ禍の生活によって多くの人びとが「体感時間」を早く感じているとのこと。体感時間が早く感じる要因はさまざまあり、なかでも刺激の少ない単調な生活が、早く感じさせている一因とも。同じ時間を過ごすなら少しでも充実した時間にしたいものです。
日蓮聖人は「百二十まで持て名をくたし(腐)て死せんよりは、生きて一日なりとも名をあげん事こそ大切なれ」とお示しです。どれだけ生きたかよりどのように生きたかが大事です。日々の生活の中でやるべきことはたくさんありますが、お題目をお唱えして仏さまと時間を共に過ごさせていただく以上に尊く大切な時間はありません。今生に与えられた時間の中で、お題目をお唱えしている時間が多いほど自分が成長すると信じて、尊く充実した毎日をお過ごしください。
(愛知県尾張布教師会長・伊藤友秀)