日蓮宗新聞

2021年12月1日号

伝教大師1200遠忌に報恩捧げる

1200遠忌法要①日蓮宗は11月19日、伝教大師(最澄)1200大遠忌報恩法要を菅野日彰管長猊下(東京都大本山池上本門寺貫首)を大導師に天台宗総本山比叡山延暦寺(滋賀県)の大講堂で営んだ。
日蓮聖人は21歳から12年の間、叡山でご遊学された。今年述作750年を迎えたご遺文『開目抄』には「たった一人伝教大師だけが法華経を正確に理解している」と書かれ、日本天台宗の祖・伝教大師を法華経の行者とされている。法要は、数年前に天台宗側から遠忌を迎えるにあたり、祖師が比叡山出身である各宗派に提案されていが、新型コロナウイルスの蔓延によりすべて中止となっていた。日蓮宗は、日蓮聖人と伝教大師のつながりが強いと考えていることから、今回の法要は日蓮宗側からの報恩参拝という形で実現した。
法要前、天台宗と日蓮宗のご挨拶の儀が執り行われた。天台宗からは、森川宏映座主猊下名代の叡南覺範探題大僧正、阿部昌宏宗務総長、水尾寂芳比叡山執行、日蓮宗からは菅野猊下、中川法政宗務総長、橋本一妙近畿教区長らが席についた。菅野猊下は法要の記念として叡南大僧正に自らご揮毫された曼荼羅ご本尊を贈られた後、「日蓮聖人が佐渡で大曼荼羅ご本尊を顕された時、きっと伝教大師にご奉告なされていたと思います。伝教大師の遠忌の節目に日蓮聖人降誕800年を同時に迎えたことを仏縁とし、日蓮聖人に代わってご本尊をお納めさせていただきました」とお伝えになられた。叡南大僧正は「伝教大師は国宝的な人材を養成したいというお心でした。その想いが日蓮聖人にも受け継がれ、今も日蓮宗の人たちにつながれていると思います。ともに国、世界のために努力していきましょう」と述べられた。
法要は阿部総長・中川総長らが参列するなか、大曼荼羅を掲げ、大講堂に祀られている日蓮聖人像をご宝前に安置して営まれた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、少人数の出仕者との声明・読経に続き菅野猊下が敬白文でご宝前に立たれ、「日蓮聖人は叡山に登り、根本伝教大師の深意を洞観して法華経こそ如来出世の本懐、末法救護の直道なりと感得せらる。〝天台沙門〟として『立正安国論』を論じ、〝根本大師門人〟として五字の玄額を掲げ給うこれなり。伝教大師の同帰一乗、日蓮聖人の皆帰妙法を継承し、世界平和人類共生を誓願す」と報恩感謝された。
挨拶では阿部総長が「日蓮聖人は、飢饉や災害が続き混乱を極めた時代のなかにあって法華経によって国を立て直し、多くの民衆を救うために努力されました。伝教大師もまたすべての人びとを救うことに一生を捧げられました。この尊いお志が現代に生きる私たちに教えをつなげてくれています。本日の法要はまさに伝教大師・立正大師(日蓮聖人のこと)が目指された浄仏国土の願いを社会に強く伝える両大師のお志の具現です」と話し、遠忌と降誕800年の節目に絆を深め合いたいとした。
中川総長は「国家の安寧、一切衆生の救済を心から願った伝教大師の意志は日蓮聖人を通し、確かに我々日蓮宗僧侶にも受け継がれています」と確信し、「両祖の心願たる浄仏国土を顕現すべく、ともに手を取り合って精進していくことを切に願います」と応えた。
法要後は、日蓮聖人が勉学に励まれ、院主ともなられた横川定光院(宗門史跡)を菅野猊下や中川総長らが参拝した。菅野猊下が法味を捧げられた後、同院護持の歴代へ謝意を表され「定光院から比叡山根本中堂への道は、日蓮聖人求道・求法への道でもあります。私たちはこの史跡を大事に守っていかなければなりません」とお言葉を述べられた。また全日程を終えた中川総長は、「1200年は私たちにとっても大事なこと。仏教の聖地で慈愛に包まれた法要であったように感じました。仏教界を発展させるためにもこの絆を大事にしていきたい」と感慨を深めた。
◇     ◇
伝教大師(767―822)=諱は最澄。日本天台宗の開祖。根本大師などと称される。780年に出家。85年に東大寺戒壇で具足戒を受け国家公認の僧になるが、南都の仏教を避けて比叡山に登り、多くの天台典籍を学んだ。804年に桓武天皇の天台振興により還学生として入唐。天台教学を学び、大乗菩薩戒を授かった。05年に帰国。翌年に南都六宗に加えて天台法華宗にも年分度者2人を請願し勅許が下った。この日を日本天台宗の開宗としている。伝教大師が比叡山に建立した庵が、後の比叡山延暦寺となる。後に日蓮聖人が比叡山で12ヵ年にわたり勉学されたのは、伝教大師が確立しようとした叡山12ヵ年の修行制度によるという。

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新年のご挨拶。

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