ひとくち説法
2021年7月20日号
コロナよりこわい人間の心?
お彼岸のお経周りの最中、あるお寺の掲示板に「コロナよりこわい人間の心」と書かれているのを見てドキッ! としました。
私が所属している日蓮宗人権擁護委員会では、各委員が市区町村で人権に対する啓発活動やさまざまな相談に対応しています。最近では、自分や家族に対する誹謗中傷や差別的な取り扱いで苦しんでいる人など、新型コロナウイルス感染症関連の相談が多くみられます。ある相談者は「感染症になって苦しかったが、それより今になっても続く差別はもっと苦しい」と話してくださいました。
お釈迦さまは「自分がされたくないことは、あなたも人にしてはいけないよ」と思いやりを説かれています。「もし自分が感染症になって悪口や差別を受けたら嫌ですよね。だからあなたも人に悪口や差別をしてはいけないよ」ということです。 私たちが、新型コロナウイルスよりこわい存在にならないようにお互いに気をつけましょう。
(神奈川県第2部布教師会長・植坂泰雄)
2021年7月1日号
お題目で心の消毒
昔の歌に、手や顔の汚れは常に洗えども、心の垢を洗う暇なしというのがあります。この1年半、手指の消毒がすっかり日常化されてきました。私たちは鏡を見て、髪形の乱れをなおしたり、手や顔の汚れはいつも洗っていますが、心の垢を洗い清めるということはなかなかできないものです。
私たちの心には、慈悲深い仏さまのような心もある一方で、怒り、貪り、愚か(三毒)も持っています。心をきれいにすることは難しいですが、その三毒を消せるのがお題目です。本来、眠っている仏さまの種を目醒めさせてくれるからです。本来ある尊い姿を見せてくれる、己が仏性を開花させるということが、本尊の意義の1つにあります。コロナ禍、自分を見失う人が多くなっているようです。お題目で仏性を喚び起こしていくことが大切です。来年、令和4年7月8日は、佐渡始顕本尊開顕から750年になります。今一度、己が心を観てみましょう。
(神奈川県第1部布教師会長・鈴木浄元)