2021年6月29日
宮城・本山孝勝寺 釈迦堂上棟式
【宮城】6月29日、仙台市本山孝勝寺(谷川日清貫首)で市登録文化財・釈迦堂の上棟式が行われた。昨今のコロナの影響で出席者は総代、工事関係者のみに縮小された。法要は谷川貫首導師のもと山務員6名で厳修され、堂内は力強い読経が響いた。その後、宮大工が屋根に上がり棟木を打ち納める「槌打の儀」など、宮大工の伝統儀式「工匠の儀」を行い、完工を祈った。
孝勝寺境内にある釈迦堂は、伊達騒動に巻き込まれた仙台藩4代伊達綱村公が、母・三沢初子の冥福を祈って建立した御堂である。その釈迦堂には、孝勝寺の寺宝、一寸八分の釈尊像が祀られてきた。その釈尊像は、熱烈な法華経信仰をしていた三沢初子の御持仏で、伊達騒動のとき綱村公を守るため、一心に法華経、お題目を唱え祈願した釈尊像である。釈尊像が安置してあった釈迦堂は、移築を繰り返し老朽かが進んでいたため、このたび、320年ぶりに全面修復が執り行われている。創建当初から使われたとみられる14の本の柱や屋根、壁面の装飾はできるだけ生かして、元禄時代の建築様式を再現し、外観は年末までに完成する予定である。
上棟式に参列していた元仙台市博物館長・東海林恒英氏は「今年は伊達騒動の出来事で有名な刃傷事件が起きて350年の節目であり、仙台にとって重要な史跡が再現されることは意義深い」と述べられた。またほかの参列者も「綱村公が御報恩感謝の誠を捧げる釈迦堂が修復されて、とてもうれしいです。私もお題目を唱えていきたい」と話していた。