オピニオン
2021年5月20日
長い目を持つこと
長い人生には、いろいろなことが起こると思います。一時は悲しいこと、つらいこと、泣きたいこともあります。ところがあとになって考えると、かえって良かったと思われることもあります。
中国の故事で「塞翁が馬」という言葉があります。中国の北の要塞近くに住む老人(塞翁)が、馬を飼っていたが、逃げられてしまった。老人は嘆かなかった。数ヵ月後、逃げた馬が、良い馬を連れて帰ってきた。老人は喜びもしなかった。老人の子は乗馬を好んだ。ところが落馬して足を折ってしまった。1年後、戦争が起き、たくさんの若者が命を失ったが、老人の子は足が悪かったため、戦争には行かずに生き残ることができた。
この話は、人生において、何が幸いするかわからないというたとえです。コロナ禍の中で、どんなことがあっても立ち上がれる人、どんな不幸があってもじっと耐えられる人。そうなるには「長い目」をもつことが必要かもしれません……。
(東京都東部布教師会長・鈴木貫元)