2021年5月1日
■信心の原点
コロナ騒動の前、解体業を営んでいる大黒天の信者さんと、「不安」について話したことがある。「大黒さんが見てて下さると思えば気がしまり、護っていて下さると思えば気が楽になる。不安とどう向き合うか、私の信心の原点はそこ」と彼は言う▼会社経営者が抱える一番の不安は、仕事が途切れはしないかということだ。彼は「丁寧な仕事を心がけています。信用が増せば、仕事が増え、その信用を崩したくないという不安から、また頑張ります。不安が生産性をあげることもあります」と話す。適度な不安は薬だが、過度になれば毒ともなる。不安で仕事ができなくなったこともあったそうだ▼コロナ禍の時代を迎えた。仕事がない不安を抱く経営者も多いことだろう。そんな時、古屋付きの土地を取得し、参拝者用駐車場を造ることになった。彼に古屋の解体を依頼すると、「解体だけでなく舗装やフェンスなどもやらせてほしい、コロナ禍によるキャンセルで苦しむ業者を組み込んであげたいから」と言われた▼いま完工した駐車場に立って思った。コロナ禍で人の繋がりが揺らぐなか、檀信徒はもちろん多くの人の力で完成にこぎつけられたのは、説明のつかない神仏の力があったからではなかろうかと。「働くことで神仏の意志に叶うのだという信念でやりました。不安はありませんでした」と横で話す彼の言葉が沁みた。(雅)