ひとくち説法
2021年3月20日号
生きる免許証
家内が言う。「住職は3年毎に2時間の講習。私は5年おきに30分で済むのに」。言葉が出ない。忙しさを言い訳にアクセルを踏むと、免許の更新時に後悔をする。でも、違反切符で大難が小難で済んだと思えば気が楽になると言ったら、家内から雷が落ちた。「何言ってるんですか! 安全第一でしょ!」今も机の向かい側から睨みを利かせている。では、次は小難を無難にする努力が必要。
何事も免許が取れてから、初めて資格者と認められる。そしてそれに恥じない努力は日々の宿題である。生きていればどんなことにも辛くて苦しい定めがあるものだ。故にこの世を娑婆世界という。内には種々の煩悩があり、外には雨風寒暑などがある。これらの苦悩を耐え忍んだ上でさらなる精進をしなければならない。なぜなら、この娑婆世界こそが釈尊の本土であり、南無妙法蓮華経を弘通すべき天地であるのだから。故に、法華経の精神をもって、その道を進まなければならない。
(秋田県布教師会長・木名瀬了昭)
生きる免許証
家内が言う。「住職は3年毎に2時間の講習。私は5年おきに30分で済むのに」。言葉が出ない。忙しさを言い訳にアクセルを踏むと、免許の更新時に後悔をする。でも、違反切符で大難が小難で済んだと思えば気が楽になると言ったら、家内から雷が落ちた。「何言ってるんですか! 安全第一でしょ!」今も机の向かい側から睨みを利かせている。では、次は小難を無難にする努力が必要。
何事も免許が取れてから、初めて資格者と認められる。そしてそれに恥じない努力は日々の宿題である。生きていればどんなことにも辛くて苦しい定めがあるものだ。故にこの世を娑婆世界という。内には種々の煩悩があり、外には雨風寒暑などがある。これらの苦悩を耐え忍んだ上でさらなる精進をしなければならない。なぜなら、この娑婆世界こそが釈尊の本土であり、南無妙法蓮華経を弘通すべき天地であるのだから。故に、法華経の精神をもって、その道を進まなければならない。
(秋田県布教師会長・木名瀬了昭)
2021年3月10日号
猫の恩返し
彼岸や施餓鬼会に参加しては、多くのご先祖に塔婆供養を重ねてきたSさんは、国道45号線沿いで民宿を営んでいました。Sさんは、行き交うトラックなどに轢殺された猫の遺骸を見捨てて置けず、丁寧に葬っては当山で塔婆供養をしてきました。幾匹もです。ある冬の寒い日、来山してのこと。「お上人さん、今朝、明け方夢を見ました。私が狐の首巻きのようなものをして温もっています。でもよく見ると猫だったのです」。私はこう応えました。「鶴の恩返しならぬ、猫の恩返しですね。Sさん」。「そんなことがあるんですね」。
日蓮聖人は、「丈六の卒塔婆をたてて、其面に南無妙法蓮華経の七字を顕しておはしませば、北風吹けば南海の魚族、その風にあたりて大海の苦を離れ、東風きたれば西山の鳥鹿、その風を身に触れて畜生道を免れて都卒の内院に生まれん」(『中興入道御消息』)と、卒塔婆供養の功徳を述べておられます。
(岩手県布教師会長・三浦恵伸)