2021年2月20日
◆タンポポ
春の陽射しに照らされ、あぜ道に黄色い花を咲かせるタンポポ。日本の原風景を感じさせるが、都会の道の片隅にも見ることができる▼実は、都会に多いのはセイヨウタンポポと呼ばれる外来種で、元々日本に生息していたニホンタンポポとは異なる。花のつけ根にある総苞と呼ばれる部分が閉じているのがニホンタンポポで、簡単に見分けることができる▼どちらもタンポポには違いないものの、ニホンタンポポは単体では種をつけることができない。対してセイヨウタンポポは単為生殖で、しかも種が軽いので遠くまで飛んでいくことができる。当然セイヨウタンポポのほうが縄張りを広げていき、ニホンタンポポは落ち目になっていくと考えられる。しかし交雑という手段で、ニホンタンポポは種を伝えていくのである。中々したたかなヤツである▼更にすごいことに、タンポポは根が50㌢も伸びるという。引っこ抜こうにも容易ではない。葉や茎は枯れたようでも土中に眠り、時節到来となれば一気に復活する。雑草として刈り取る者にとっては厄介者だ。しかし、たんぽぽコーヒーとして愛飲されたり、薬草として人の役にも立っているのである▼コロナ禍にある我が身に当てて考える。雪に埋もれても春になれば可愛らしい花を咲かせるタンポポのように、人を和ませる笑顔を絶やさず、春の到来を信じて過ごしたい。(直)