ひとくち説法
2021年1月20日号
何のために生まれた?
すべての出来事は偶然ではなく必然である、と仏教は説きます。日蓮聖人も含め私たちが生まれてくることも偶然ではなく必然なのです。
ところで胎内記憶という言葉をご存知ですか。子どもが母親の胎内にいた時の記憶のことです。大体、2歳から5歳ぐらいまでの子どもが憶えていて、その後は段々と薄れていくそうです。その記憶の大まかな共通点は「子どもは生まれる時、両親を選んで生まれてくる」「両親を助けるために生まれてくる」そして「自分の人生の目的を達成するために生まれてくる」のだそうです。
法華経の中に「願生」という教えがあります。願いを持ってこの世に生まれてくるという意味です。まさしく胎内記憶は法華経の教えと符合するのです。日蓮聖人は、仏さまの世界をこの世界に現すことを理想とし、お題目を広められました。私たち1人ひとりがお題目を唱え、社会での役割を果たし、安穏な世界を実現していきましょう。(大分県布教師会長・飯盛義教)
2021年1月1日号
5つの欲を持つ自分
いかなる時代でも人は、「食欲」「財欲」「色欲」「名誉欲」「睡眠欲」の5つの欲で常に動かされ、生きている限り止むことがない、とお釈迦さまはお説きになられます。自分の願望が成就した時には喜び、思い通りにならない時には、この五欲を追い求め過ぎるが故に、人間は知らず知らずの内に苦悩の原因をつくってしまうものです。しかし私たちは、この五欲がなければ生きてはいけません。この世界に生きている以上、五欲をすべてなくしてしまうことはできないのです。お釈迦さまは「五欲を離れずして六根清浄を得たり」とお示しになりました。つまり五欲を持ったまま成仏をするのだと。
自分自身が五欲を持つことを素直に認め、日々の行いを省みて、肉身のまま五欲を生かし、周囲の幸せのために尽くしていく行いに努めていきましょう。その心持ちが、菩薩の心であり、仏の振る舞いでもあるのです。
(長崎県布教師会長・今泉智薬)